門前市郎によろしく

ジレッタが残らないのが悲しすぎて覚書。まだ途中。一人の記憶力では限界があったので色んな人の記憶を頼りに書かれています。自信のないところも多々あるのでご指摘お待ちしています。そのうち絵を描く方のおたくの舞台セットメモが上がるかもしれない。

上を下へのジレッタ③

舞台両端に「リエの部屋」の文字。
門前がガクンとソファに座る。

リ「そろそろ来る頃だと思ったわ」
門「お前も俺を笑ってんだろ」
リ「私を他の連中と一緒にしないで」
門「俺の周りにはもう誰もいない…」
リエ、立ち上がって門前の座るソファの後ろへ。背もたれに手をつく。
リ「あなたはねえ、トカゲみたいに、切り落とされてもすぐにまた前よりも立派な尻尾が生えてくるの」腕を組みながら、「この部屋は、それまでの巣みたいなものよ」
門「…さすがに…分かってるな」
無理やりな笑みを浮かべる門前。立ち上がる。
門「この程度の挫折じゃ、かすり傷にもならねえんだよ」
目があう二人。キスをしかけた時、電話が鳴る。
無言でリエを電話側へ押しのけて、背を向ける門前。
不満げな顔で電話に出るリエ。
リ「はい。ええいますけど。あなたによ。大学病院から」
門「病院…?」
門前、電話に出る。リエ上手側で様子を伺う。
門「はい、門前です。え!?あああすぐ行きますから!」
電話を切り、ソファにかかっていた上着を取りに行こうとする門前。
リ「これ以上まだ何か?…待って!」
リエ、先に上着を取る。
リ「置いてくつもり?たった1人の味方を」
門「お前も付いてきてくれ」
上着を渡す。走る門前を追う。
リ「行き先は?」
門「ビルの工事現場だ」
リ「工事現場?」
上手へはける。

医「病院で急激に容態が悪化しましてな。試しにここに戻してみたところ、安定したというわけなんです」
医「しかしそもそもなぜ3ヶ月もの間、この男が飲まず食わずで生き延びることができたのか。それもこの場所に秘密がありそうなのです。」
医「何かあるとすればこの鉄柱です。この場所でのみ、容態が安定するからです」
柱の奥側にリエと門前。
門前柱の陰から一歩踏み出して、
門「そんなことより、どうして俺をここに?…こんな男に見覚えは」
誤魔化すようにうすら笑いを浮かべる。
医「それはこの男の妄想に、決まってあなたが出てくるからなのです」
リ「ちょっと待って」
割り込むリエ。
リ「この人がどんな妄想をしてるかなんて、本人以外に分かるわけないでしょ?」
医「それが分かるんです」
医「この聴診器を使えば」
門「聴診器ぃ?」
医「さっこれをこの男の胸に当ててみてください」
医「騙されたと思って!」
医「決して損はさせませんから♪」
リ「なんだかすごくいかがわしいわ」
医「頭を空っぽにして。余計なことを考えると、ジレッタの世界に反映されてしまいますからな」
門「ジレッタぁ?」
リ「なんだか、お医者さんごっこみたいだわ」

大きな俵が上手から下手、下手から上手へ転がる。それにあわせて聴診器が回収されたり山辺が回収されたり。

舞台中央で身を寄せ合う二人。
門「なんだここは…!?」
リ「み、見て!」
門「馬!?」
馬に乗ったカウボーイなコーラスが登場。
“ヒーハー!”

“ここはテキサス”…
コーラスの動きに合わせて踊らされるリエと門前。
“西部劇 ヒーハー!”

門「やめろォ!俺の女に何する気だ!」
コーラス「お医者さんごっこだ!」
“注射 注射 注射”
門前は上手側に追いやられ、下手の方でリエが注射されたり問診されたりしている。
リ「キャー!」
“問診 問診 問診”
門前助けようとするがコーラスにはねつけられる。
“点滴 お薬 レントゲン”
“こりゃもうダメだ!オペの準備を!”
門「オペ?オペ…」←口の動きだけ
手袋(エアー)をはめる門前。
“前代未聞の大手術”
リエの腹にメス(エアー)を入れる。
“ヒーハー!”
二人とも突き飛ばされる。

曲調が変わる。
下手から馬に乗ったキミ子と山辺(保安官)登場。Uターンして馬が上手側に。
山“俺は保安官”…

馬から降りた山辺、上手手前に立つ門前に拳銃を投げる。*1
門「どういう意味だ」
山「とれ!門前!」
キ「男なら拳銃をとりな!」
リ「やめて!」門前に。
門「いいさ!こいつとはいずれ決着をつけないとと思ってたんだ」
拳銃を拾い上げる。
門前、山辺と目を合わせながら下手へゆっくりと移動する。
次の瞬間、馬に撃たれる。*2
門「いいい!?」
リ「撃った…馬が…」
山「勝った!」
リ「撃った!馬が!」
はっはっはっは〜と笑いながら山辺たちがはけていく。
リエ、倒れた門前にすがりながら「酷いわ!」「馬なんかに…!」「馬なんかにいいい!」*3

俵が転がる。俵に隠れて小道具が回収されたり山辺が戻ったり、リエと門前が聴診器をあてる体勢に戻ったりして現実世界の風景に。リエはまだ泣いている。門前は苦しんでいる。
医者に聴診器を取られる。我にかえる2人。
門「今のは…?」
医「お分かりいただけましたか?」
門「さっぱり分からない!!」立ち上がって叫ぶ門前。
医「調べてみたところ、この柱は東京中の騒音の中からある種の超音波を吸収し発しているようなのです。その超音波に脳を刺激され、とんでもない妄想を生んでいるのではないか」
医「その妄想世界に入り浸ることで彼は仮死状態に陥り、3ヶ月もの間生き延びることができたというわけなんです」
リ「信じられないわ」
門「どうしてそれを俺たちも見ることができるんだ?」
医「それはこの男の精神波が強いからでしょう」
医「我々はこれをジレッタと呼んでいます。あちらの世界で、彼がそう説明するからです」
医×3「ここは、ジレッタだ。と」
医者三人、客席に体を向け三人くっついたままぎこちなく*4下手へとはけようとする。(山辺を後ろに隠してはけようとしている)

4段目、スクリーンに映る噴水の前のベンチに、門前、リエの並びで座る。
門「お前なら分かるな。俺が今なにを考えているか」
リ「ジレッタね」
門「その通り。今度の仕事は芸能界なんかとはスケールが違う」
リ「でもこんなもの使って何を?」
門「今度こそ世間をあっと言わせてやるんだ!」

『野望と現実のはざまで…』

門“世界中でテレビを見てない人間は?”
リ「いないわ」
門“今にテレビは空気になるよ”…
リ「それで?」
立ち上がる門前。一段下へ降りる。
門“マスメディアの王座は空席”

リ“世界中がジレッタを?聴診器が足りないわ”
門前、リエを振り向く。リエ立ち上がる。
門“どうにかするさ”
リ“どうやって?”
門“そいつは”
門前、リエに背を向ける。
門“あとで考える”
リエずっこける。
リ“そこが一番重要よ”

門“必要なのはパートナー”
リエに手を伸ばしひざまずく。
門“闇の中光を灯してくれた君”
リ“条件があるの 簡単な条件よ”
微笑みながら手を握る。
リ“小百合チエと別れて”
手に力を込めて門前痛がる。
門前、上手側を向いてリエに背を向ける。
門“ジレッタこそ本物のマジック”…
リエ、門前に向かって
リ“知ってるんだから あなたが彼女を囲ってるって”
門“ジレッタは体験するメディア”
再びリエより一段下がる。
リエ、門前に背を向けたまま、
リ“水木金と飢えさせて”
人差し指で水木金を数える。門前を振り返って“抱きに行くのよ”自分を抱くような振り。
門前、さらに下手へと移動して
門“おお!ジレッタそれはまるで…”
リ“ごまかさないで!”
リエが門前に人差し指を突きつけて曲終了。

門「つまり…何か?君ほどの女が、あの田舎娘に妬いてるっていうのか?」
リ「…認めるわ。あの小百合チエのほうの顔に、たまらないほど妬いているの。とにかく、あの女と手を切らない限り、私はあなたと組む気はないわ」
門「…分かった」
リ「言ったわね?」笑うリエ。
門「きっちり別れてやるから、お前は…俺の…そばにいろ…」
リ「…今夜は楽しかったわ。またね」
リエ、上手へはける。門前下手に残されると。
門「…勝ち誇ったようなツラしやがって。悪いがこっちは女の嫉妬に付き合ってる暇はない。まずは資金集めだ…使いきれないほどの金と、えげつない功名心を持ったスポンサーを探すんだ!」

『Mr. Yesman』
有木社長、一回席主通路下手側から登場。
門前、上手側壁にもたれてニヤニヤする。

“わたしは歴史に名を残したい〜!!”
門「ちょうどいいのが現れた」
門前中央に立つ。
門“殺し文句は『先駆者』(右手)『草分け』(左手)『パイオニア』(両手)”
下手にはける。

コーラスがはけて、曲終了。
山辺に聴診器をあててうなだれている有木。門前が聴診器を取る。
門「いかがでしたか社長」
有「なんかすっごいテンション上がっちゃったぁ…」
門「これが、ジレッタです」
有「は...!あの感じのいい奴らがいた世界がか!」
有木立ち上がる。
門「お気に召していただけましたか?」
有「門前くん!これは大当たりするぞ!」
門「社長にお力添え頂ければ、社長がジレッタ界のパイオニアということに!」
有「わたしがパイオニア....!?よし!やろう!」
門「社長〜!」
有「門前くん!わたしを男にしてくれ〜!!」
門「それはこちらのセリフですよ社長〜〜〜!!」
有木に股間を押し当てられる門前*5

チエ、下手奥から登場。
チ「オンちゃん!?」
門「チエ!?なんでここに!」
チ「オンちゃん〜〜!」
山辺に駆け寄ろうとするチエ。
門「死ぬぞー!!」
チ「死ぬ〜〜!?」
門「下手に動かしたら死ぬ。奴は今生死の境をさまよってんだ!」
チ「どうして〜〜!」
有「…!?おい門前くん!ジレッタの大元は死にかけているのか?そんな将来性のかけらもない事業に協力はできんぞ!」
しまった!という顔で有木に駆け寄る門前。
門「違うんですこれはあのなんて言いましょうか」
チ「事業!?どういうことだよこのオヤジ〜!」
有「オヤジ〜〜!?*6門前くん!!」
門「はい!!」
有「今すぐこの美女を紹介したまえ〜☺️」
門「それはまた今度しますから!!」
社長とチエを引き離す。
門「…リエか。この場所をお前に教えたのはあの女だな!」
チ「どうしてオンちゃんがこんなことに…!」
門「それは…、じ…事故にあったらしい」
チ「事故〜〜!?」
門「でも悲しむのはまだ早い!彼はいつでも君のことを想っているんだよ!」
チ「どうしてそんなことが先生に!」
門「これを彼の胸に当ててごらん」
聴診器を手渡す。
チ「先生…いくらわたしがバカだからって。こんなものでオンちゃんの心が分からないことくらい!」
有「言われた通りになさ〜い」
柱の陰からだらしない顔の有木。
有「あとでわたしが、ワイハ〜に連れて行ってあ・げ・る・か・ら♡」
チ「知らないオヤジとハワイなんて行きたかないわよ!」
門「いいからはやくやれ!」
チ「命令ばっかり…!ワンマン社長のもとのタレントは惨めだわ」
チエ、聴診器を山辺にあてる。

チエの顔の前に手をかざし、反応がないことを確かめて汗を拭う門前。
門「ジレッタに入ったようです」
有「何者なんだねこの美女は」
有木、ジレッタに入っているチエの顔をしゃがんで覗き込む。
門「ああ…自分のことを山辺のフィアンセだと思いこんでいる頭のおかしい女です」
有「なに!?この汚い男がフィアンセだと〜!?*7羨ましい男だな〜!!」
山辺の鼻をつまむ。唾を噴く山辺。うわきたねっ!となる有木。
門「実際はそうでもないですよ」
有「何?どういう意味だ」
門「あっ…いや、そんなことより社長。来たる万博で、社長の会社日天肥はパビリオンを出店するだとか」
有「さよう!我が日本天然肥料は、世界中のトイレが一同に会する、トイレ館を建設するのだ〜!」
門「いやトイレ館って(笑)」
噴き出したところを有木に見られ、慌てる門前。
門「あっ、あー…トイレ館も魅力的ですが…それよりどうです?ジレッタで勝負してみるというのは!」
有「ジレッタ館か!」

チエの聴診器を外す。
チ「あれ…!?わたし…」
門「俺の言っていたことは嘘じゃなかっただろ」*8
チ「不思議な場所で、オンちゃんが私に言ってくれたんです。俺が愛してるのは君だけだ、腹いっぱい食べればいいって!」
門「おいほんとにそんなこと言ったのか」
じたばたしながら有木「決めた!トイレ館は撤回!ジレッタ館を建設する!」
門「社長!!」
チ「ジレッタって何なんですか?オンちゃんもさっき同じこと…」
門「おいチエ!お前の彼氏はものすごい才能の持ち主だったぞ!こいつは、いや彼は、これから大成功を収めるんだ!」

『ハロー、ジレッタ』

舞台の中心で門前。
「ハロー、ジレッタ!港区地下生まれの虚構の神」
「ハロー、ジレッタ!現実を覆う虚構のカーテン」
“今なら分かるあれもこれも”…

倒れていた山辺が起き上がる。
“行くな ジレッタ ごちゃまぜになったボツのアイデア
え?え?となる有木とチエを押しとどめ、門前、山辺を下手に突き飛ばす。
“ひとり占めはよくねえな”

全員“世界中が狂喜乱舞 大喝采 ジレッタ”
山辺、後ろから登場。
山“どこにも行くな”
山辺、コーラスに持ち上げられて上手へはけさへられる。
“世界が俺たちの前に跪く”テンポを緩めながら。
門前ソロ。
“世界を手玉に…ジレッタ!”*9
金色の紙が降る。

曲終了。拍手の中暗転。
一部閉幕、休憩時間。

*1:拳銃を飛ばしすぎて客席に落ちるハプニング発生。「…取れよ」と言われ門前が客席に降りた。by5月某日公演の人

*2:馬役の人が冷めた顔で拳銃を向けていた

*3:回を増すごとに「馬なんかにい!」の強調度が上がって面白かったけど、千秋楽では普通レベルに戻っていた。

*4:こちなさはわざと

*5:尻を揉まれたりすることもあった。千秋楽では「こい!」「いいんですか!」下からハグ、股間をあてられ「おっきいですね(笑)」

*6:千秋楽では、ずんずん近寄る有木に門前が「オヤジはだめですね…」ってなだめてた。

*7:他の公演は覚えてないけど、千秋楽では「くせっ!」と鼻をつまんでいた。

*8:この間ジャケット広げてぐるぐる回りつづける有木。この有木は竹中直人さんの気まぐれで出現する模様

*9:ジーーーーレッッターーーーーって腹の底から音伸ばしててすっごい素晴らしくてすごかったすごく歌がうまかった。あと顔はとてもきりっとしていた。かっこよくて泣いた。